硬水のデメリットとは?お腹・料理・家電への影響と上手な付き合い方

「硬水は体に悪い」「硬水を飲んだらお腹がゆるくなった」。ミネラル補給を意識して硬水を試してみたものの、こうした声を見聞きして不安になった方もいるのではないでしょうか。

先に結論をお伝えすると、硬水は体に悪い水ではありません。硬水のデメリットは、飲み慣れていない人がたくさん飲むとお腹がゆるくなることがある、飲み口が重く感じられる、和食や炊飯とは相性が分かれる、石けんの泡立ちや家電の水垢(スケール)に影響する、といった「人と用途を選ぶ特徴」です。

この記事では、4つのデメリットを公的な情報をもとに解説し、飲む量の把握方法や、硬水を飲みたいときの上手な付き合い方も紹介します。

結論:硬水のデメリットは「体に悪い」ではなく「人と用途を選ぶ」こと

硬水のデメリットは、「飲むと体に悪い」というものではなく、体質や飲む量、使う場面によって合う・合わないが分かれる点にあります。まずは4つのデメリットと、それぞれの対処の方向性を一覧で確認しましょう。

デメリット 起こりやすい場面 対処の方向性
①お腹がゆるくなることがある 飲み慣れていない人が一度にたくさん飲んだとき 少量から試し、量を調整する
②飲み口が重く、渋みを感じることがある 軟水に慣れている人が飲んだとき 好みに合わせて使い分ける
③和食・だし・炊飯と相性が分かれる 昆布だしなど素材のうまみを活かしたい料理 料理によって水を使い分ける
④石けんの泡立ちや家電の水垢に影響する 洗い物やポット・加湿器に使うとき 機器の取扱説明書に沿ってお手入れする

出典:福岡市水道局「硬水・軟水について」/厚生労働省 e-ヘルスネット「マグネシウム」

そもそも硬水とは?硬度の基準をおさらい

硬水・軟水は「硬度」で分けられます。硬度とは、水に含まれるカルシウムとマグネシウムの量を炭酸カルシウムの量に換算した値で、単位はmg/Lです。福岡市水道局の資料では、WHO(世界保健機関)の飲料水ガイドラインによる区分として、次のように紹介されています。

区分 硬度
軟水 0〜60mg/L
中程度の軟水 60〜120mg/L
硬水 120〜180mg/L
非常な硬水 180mg/L以上

出典:福岡市水道局「硬水・軟水について」

なお、日本の水道水は、水道法に基づく水質基準で硬度300mg/L以下と定められています。さらに、おいしい水の観点から設けられた水質管理目標設定項目では、10mg/L以上100mg/L以下が目標値とされています。

出典:環境省「水質基準項目と基準値(52項目)」

硬度の計算方法や分類の詳しい違いは、関連記事「軟水と硬水の違いとは|硬度の基準・味・使い分けを解説」で解説しています。

デメリット①:飲み慣れていないとお腹がゆるくなることがある

硬水を飲むと誰でも必ずお腹をこわすわけではありません。ただ、体質や飲む量によっては、お腹がゆるくなることがあります。ここでは、その理由と、飲む量を自分で把握する方法を紹介します。

なぜお腹がゆるくなる?マグネシウムとの関係

厚生労働省のe-ヘルスネットでは、マグネシウムは通常の食事で摂り過ぎることはないものの、それ以外にサプリメントや薬で摂り過ぎると下痢を起こすことがある、と説明されています。

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「マグネシウム」

また、福岡市水道局の資料でも、硬度が高すぎる水を飲むと下痢を起こすこともあるとされています。

出典:福岡市水道局「硬水・軟水について」

硬水はカルシウムやマグネシウムを多く含む水で、なかにはマグネシウムを多く含むものもあります。そのため、飲み慣れていない人が一度にたくさん飲むと、お腹がゆるくなることがあると考えられます。お腹がゆるくなる仕組みについては、マグネシウムと下痢の関係を解説した記事で詳しく紹介しています。

量の目安は「ラベルのマグネシウム量×飲む量」で把握する

「どのくらいなら飲んでも大丈夫か」は、水の種類や体質によって変わるため、一律に線を引くことはできません。そこでおすすめなのが、ラベルの栄養成分表示から、水でとるマグネシウムの量を自分で計算してみる方法です。

計算方法はシンプルで、「100mlあたりのマグネシウム量×飲む量(100ml単位)」です。例えば、マグネシウムが100mlあたり10mgと表示された水を1日に1L飲む場合は、10mg×10=100mgとなります(数値は説明のための例です)。

比べる物差しとして、「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、1日あたりのマグネシウムの推奨量を、成人男性で330〜380mg、成人女性で280〜290mg(年齢階級によって異なる)としています。マグネシウムは食事からもとっているため、水でとる量がどのくらいの割合になるのかを知っておくと、量を考える手がかりになります。

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「マグネシウム」/厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書

初めて硬水を飲むときは、少量から試して、お腹の調子を見ながら量を調整するのが無難です。サプリメントや薬でマグネシウムをとっている場合は、水の分もあわせて医師や薬剤師に相談しましょう。

こんな人は特に気をつけたい

次のような人は、硬水を飲むときに特に様子を見ながら取り入れましょう。

  • 普段は水道水など軟水を飲んでいて、硬水を飲み慣れていない人
  • 旅行や出張などで、飲む水が普段と変わったとき
  • 胃腸の調子が気になる人
  • 乳幼児
  • 腎臓の病気などで、食事や水分について医師から指導を受けている人

ご注意ください

持病がある方や体調に不安がある方は、自己判断で飲む水を選ばず、医師に相談してください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断・治療を行うものではありません。

デメリット②:飲み口が重く、苦みや渋みを感じることがある

「硬水は飲みにくい」と感じる理由は、硬度にあります。硬度の違いで飲み口は変わるため、硬度の高い水ほど、口当たりに重さや独特の風味を感じやすくなります。

福岡市水道局の資料では、硬度が高すぎる水を飲むと口に残るような味や渋い味がする、とされています。こうした味わいを、苦みや重さとして感じる人もいます。

出典:福岡市水道局「硬水・軟水について」

日本の水道水は軟水が多いため、軟水の飲み口に慣れていると、硬水をより重く感じやすいでしょう。一方で、しっかりとした飲みごたえを好む人もいて、味の感じ方には個人差があります。

硬水を飲みやすくしたいときは、よく冷やして飲む、食事と一緒に飲むなど、好みに合わせて工夫してみるのもひとつの方法です。

水の性質を表すもうひとつの指標であるpHについては、関連記事「軟水・硬水とpHの違いとは|水の硬度と性質を正しく理解」で解説しています。

デメリット③:和食・だし・炊飯とは相性が分かれる

料理に使う場合、硬水は料理によって向き・不向きがあります。福岡市水道局の資料では、軟水は和風料理に適しているといわれ、昆布のうまみ成分を引き出す効果がある一方、硬水は洋風料理に適しているといわれ、肉の臭みを和らげ、煮くずれを防ぐ効果があると紹介されています。

出典:福岡市水道局「硬水・軟水について」

だし・煮物などの和食

昆布だしなど、素材のうまみを活かしたい和食には、軟水が使いやすいとされています。和食には軟水を選ぶと、いつもの味に仕上げやすいでしょう。

ご飯を炊く・お茶やコーヒーをいれる

炊飯やお茶、コーヒーも、使う水の硬度によって仕上がりや味の感じ方が変わることがあります。普段の好みに合わせて、使う水を選ぶとよいでしょう。炊飯やコーヒーに合う水の選び方は、それぞれ別の記事で扱っています。

硬水が向いている料理もある

硬水は料理に不向きというわけではありません。先ほどの資料のとおり、肉の煮込みなどの洋風料理には硬水が向くとされています。料理に合わせて水を使い分けることで、硬水の特徴を活かすこともできます。

料理別の使い分けは、関連記事「軟水と硬水、料理に向くのはどっち?出汁・炊飯・煮込み別に解説」で詳しく解説しています。

デメリット④:石けんの泡立ちや家電の水垢(スケール)に影響する

硬水のデメリットは、飲み水や料理だけではありません。福岡市水道局の資料では、硬度が高すぎる水は石けんの泡立ちが悪くなり、ボイラーや湯沸かし器にスケールが生じることもある、とされています。

出典:福岡市水道局「硬水・軟水について」

日本の水道水は軟水が多いため、日常生活で気になる場面は多くありません。主に、硬水のボトルドウォーターをポットや加湿器に使う場合や、硬水の地域に滞在する場合に関係する話題です。洗濯や洗い物で泡立ちが気になるときは、水の硬度も原因のひとつとして考えてみましょう。

ポットや加湿器の白い付着物の正体

福岡市水道局は、水道水についてのQ&Aで、水にはカルシウムやマグネシウムなどのミネラル分がわずかに含まれており、蒸発・乾燥を繰り返すと白い固形物になってつくことがあると説明しています。あわせて、ミネラル分は人体に必要な栄養素なので健康上の心配はない、としています。

出典:福岡市水道局「水道水中に出てくる異物について」

硬度の高い水ほどミネラル分が多いため、硬水を使うと白い付着物がつきやすくなると考えられます。お手入れは、各機器の取扱説明書に記載された方法で行いましょう。

地域による水道水の硬度の違いは、関連記事「日本の水は軟水?硬水?水道水の硬度と地域差を解説」で解説しています。

硬水を飲みたいときの上手な付き合い方

硬水のデメリットを知ったうえで、好みやミネラル補給を意識して硬水を取り入れたい人もいるでしょう。ここでは、無理なく付き合うための3つのポイントを紹介します。

少量から試し、体調を見ながら量を調整する

初めての硬水は、例えばコップ1杯程度から試してみましょう。一度に大量に飲まず、お腹の調子を見ながら少しずつ量を調整するのがポイントです。体調に変化を感じたときは、無理に飲み続ける必要はありません。

毎日の水分補給とは分けて「目的で使い分ける」

水は1日に何度も飲むものなので、すべてを硬水にする必要はありません。例えば、毎日たくさん飲む水分補給用には飲み口のやわらかい水、料理には用途に合う硬度の水、飲みごたえを楽しみたいときには硬水というように、目的によって使い分けると取り入れやすくなります。

ラベルで「硬度」と「マグネシウム量」を確認する

市販の水を選ぶときは、ラベルの硬度(mg/L)と、栄養成分表示の100mlあたりのマグネシウム量を確認する習慣をつけましょう。同じ「硬水」でも商品によって数値は異なるため、飲む量を考える手がかりになります。

ラベルの読み方や水の分類は、関連記事「鉱水とは?軟水・硬水との違いと水の分類をわかりやすく解説」で解説しています。

毎日の水分補給に使う水を比べる:水道水・天然水・RO水・海洋深層水

ここでは、身近な水のカテゴリを、採水環境・製法、硬度(飲み口)、品質の基準、入手性の4つの軸で整理します。

種類 採水環境・製法 硬度(飲み口) 品質の基準 入手性
水道水 河川・湖沼・地下水などを浄水処理した水 地域によって異なる(水質基準は300mg/L以下) 水道法に基づく水質基準(52項目) 蛇口からすぐ使える
天然水(ナチュラルミネラルウォーター) 特定の水源から採水した地下水 採水地によって軟水から硬水まで幅広い 食品衛生法に基づく清涼飲料水の規格 市販品が多く、選択肢が豊富
RO水(純水) 水道水などを逆浸透膜(RO膜)でろ過した水 ミネラル分をほぼ取り除くため、硬度はごく低い 容器入りの製品は食品衛生法に基づく清涼飲料水の規格 ウォーターサーバーや容器入りの製品で利用されている
海洋深層水 深い海から汲み上げた海水を脱塩処理した水 製品によって異なる 食品衛生法に基づく清涼飲料水の規格 市販の海洋深層水飲料として容器入りで流通している

出典:環境省「水質基準項目と基準値(52項目)」

※水道水の成分は地域、及び時期により変動いたします。容器入りの水の硬度は、製品ごとの表示をご確認ください。

これまで見てきたように、硬度の違いで飲み口は変わります。硬度の高い水にはしっかりとした飲みごたえがあり、硬度の低い軟水はクセが少なくやわらかい飲み口です。毎日何杯も飲む水分補給用には、飲み口のやわらかい軟水を選ぶと続けやすいでしょう。

どの水にもそれぞれの特徴があり、用途や好みによって適した水は異なります。場面に合わせて選ぶとよいでしょう。

海洋深層水という選択肢

静岡県によると、海洋深層水とは、一般的には水深200〜300mよりも深いところにある海水のことを指します。太陽の光が届かないため植物プランクトンによる光合成がほとんど行われず、表層の海水とは異なる性質をもつとされています。

出典:静岡県「駿河湾深層水の有効利用」

海洋深層水の原水には、海水と同程度のおおむね3.4%前後の塩分が含まれていますが、市販の海洋深層水飲料は、逆浸透膜や電気透析などの脱塩処理を経て、食品衛生法に基づく清涼飲料水の規格に適合した状態で流通しています。

例えば、海洋深層水100%ボトルドウォーター「Body Friendly Water」は、静岡県伊東市の赤沢沖・水深800mから採水した海洋深層水を使用した、硬度40mg/Lの軟水です。クセがなくやわらかい飲み口なので、毎日の水分補給に取り入れやすいのが特徴です。

栄養成分は100mlあたり、ナトリウム6.7mg、カルシウム0.25mg、マグネシウム0.78mg、カリウム0.29mg。製造は、FSSC22000及びISO22000の認証を取得した工場で行われています。

※栄養成分表示(100ml当たり)。自社分析結果。

海洋深層水の特徴や研究でわかっていることは、関連記事「海洋深層水の効果とは?ミネラルの働きと研究でわかっていることを解説」で詳しく解説しています。

よくある疑問

硬水のデメリットについて、気になりやすいポイントをまとめました。

硬水は体に悪いのですか?

硬水は体に悪い水ではありません。日本の水道水の水質基準でも、硬度は300mg/L以下と定められています。ただし、体質や飲む量によってはお腹がゆるくなることがあるため、飲み慣れていない場合は少量から試すと安心です。

硬水を飲み続けるとどうなりますか?

体調や好みに合っていれば、日常の飲み水として取り入れてかまいません。お腹の調子が気になる場合は、飲む量を減らしたり、軟水と使い分けたりしましょう。体調に不安がある場合は、医師に相談してください。

腎臓の病気がある人は硬水を飲んでもいいですか?

腎臓の病気などで、食事や水分について医師から指導を受けている人は、自己判断せず、普段飲む水の種類についても主治医に相談してください。

中硬水にもデメリットはありますか?

「中硬水」は公的に統一された区分ではなく、商品によって指す硬度の範囲が異なります。影響の出方は硬度やマグネシウムの量、飲む量によって変わるため、ラベルを確認して少量から試すという考え方は硬水と同じです。

赤ちゃんのミルクづくりに硬水を使ってもいいですか?

調乳に使う水は、粉ミルクの製品表示に記載された方法や、医師・保健師の指示に従ってください。どの水を使うか迷う場合は、かかりつけの医師や保健師に相談すると安心です。

海洋深層水は硬水ですか?

海洋深層水を原料とする飲料の硬度は、製品によって異なります。購入する際は、ラベルの硬度表示を確認しましょう。例えば、Body Friendly Waterは硬度40mg/Lの軟水です。

腎臓とマグネシウムの関係については、マグネシウムと腎臓の関係を解説した記事もあわせてご覧ください。

まとめ:硬水のデメリットを知って、体調と用途に合う水を選ぼう

硬水は体に悪い水ではなく、デメリットは「人と用途を選ぶ特徴」です。最後にポイントをおさらいしましょう。

  • デメリットは、①お腹がゆるくなることがある、②飲み口が重い、③和食・炊飯と相性が分かれる、④石けんの泡立ちや家電の水垢に影響する、の4つ
  • 飲む量は「ラベルのマグネシウム量×飲む量」で把握し、少量から試す
  • 料理には用途に合う硬度の水を使い分ける。硬水が向く料理もある
  • 毎日の水分補給には、飲み口のやわらかい軟水も選択肢になる

天然水やミネラルウォーターの違いなど、水の種類の基本は天然水とミネラルウォーターの違いを解説した記事でまとめています。自分の体調と用途に合う水を選んで、毎日の水分補給を心地よく続けましょう。