温泉水とミネラルウォーターの違いとは?分類の軸とラベルの見分け方

温泉水とミネラルウォーターの違いは、分類の「軸」にあります。温泉水は、もとになった水(原水)が温泉に由来することを表す呼び方です。一方のミネラルウォーターは、ラベルの「品名」に使われる名称の一つで、原水の条件と処理の内容によって決まります。軸が違うため、温泉水を原水とするナチュラルミネラルウォーターのように、両方に当てはまる水もあります。

この記事では、2つの呼び方が何を表しているのかを整理したうえで、市販のボトル温泉水をラベルで見分ける方法と、温泉地の「飲泉」との違いを、農林水産省のガイドラインや環境省の資料をもとに解説します。

結論|温泉水は「原水」、ミネラルウォーターは「品名」の呼び方

まずは結論です。水の呼び方は、何を基準にした分類なのかで3つに分けて考えると整理しやすくなります。

呼び方 何を表すか ラベルで見る場所
温泉水 原水の種類(温泉に由来する地下水かどうか) 原材料名の「水(温泉水)」
ミネラルウォーター類 品名(原水の条件と処理の内容による4分類) 品名
軟水・硬水 硬度(カルシウムとマグネシウムの量) 硬度、または栄養成分表示

出典:農林水産省「ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン」(全国清涼飲料連合会 掲載)/神奈川県「軟水・硬水ってなあに?」

この3つは、それぞれ独立して決まります。「温泉水かどうか」は原材料名で、「ミネラルウォーターかどうか」は品名で、「軟水か硬水か」は硬度で判断します。たとえば「品名:ナチュラルミネラルウォーター/原材料名:水(温泉水)」と書かれた商品は、温泉水を原水とし、ガイドラインの条件を満たして処理されたナチュラルミネラルウォーターです。

温泉水とは|原水の由来による呼び方

温泉水は、ミネラルウォーター類のラベルで原水の種類を示す区分の一つです。農林水産省のガイドラインでは、温泉水を次のように説明しています。

温泉水:自噴する地下水のうち水温が25℃以上の地下水、又は、温泉法第2条に規定される溶存鉱物質等により特徴付けられる地下水のうち飲用適のもの

出典:農林水産省「ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン」(全国清涼飲料連合会 掲載)

ポイントは、温泉水が「地下水」の一種として扱われていることです。ガイドラインで示されている主な原水の種類は、浅井戸水・深井戸水・湧水・鉱泉水・温泉水・伏流水・鉱水の7つで、温泉水はそのうちの一つにあたります。つまり「温泉水」は品名ではなく、ボトルの中身がどこから来た水なのかを表す言葉です。

原水7区分それぞれの意味は、鉱水とは?軟水・硬水との違いで解説しています。

ミネラルウォーターとは|ラベルの「品名」の一つ

ミネラルウォーターは、農林水産省のガイドラインが定める「ミネラルウォーター類」の品名の一つです。ミネラルウォーター類の品名は、ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター、ミネラルウォーター、それ以外の飲用水(ボトルウォーター)の4つに分かれます。

品名を分けるのは、原水が特定の水源から採水された地下水かどうか、地層のミネラルが溶け込んだ地下水かどうかといった原水の条件と、ミネラルの調整や混合などの処理の内容です。温泉水は地下水なので、条件を満たせばナチュラルウォーターやナチュラルミネラルウォーターの品名で販売されます。なお、「天然」「自然」という言葉は、ナチュラルウォーターとナチュラルミネラルウォーター以外には使えないルールになっています。

出典:農林水産省「ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン」(全国清涼飲料連合会 掲載)

4つの品名それぞれの定義とラベルの読み方は、天然水とミネラルウォーターの違いで詳しく解説しています。

市販のボトル温泉水を見分ける方法|ラベルの4項目

スーパーや通販で買えるボトル入りの温泉水は、容器の一括表示を見れば、どんな水なのかを判断できます。温泉水かどうかを確かめるときは、次の4項目を順に確認しましょう。

ラベルの項目 確認するポイント 表示の例
原材料名 括弧内の原水の種類が「温泉水」かどうか 水(温泉水)
品名 4分類のどれか。温泉水でも品名はミネラルウォーター類の分類で書かれる ナチュラルミネラルウォーター
硬度・pH 飲み口や性質の目安。温泉水の硬度やpHは製品によって異なる 製品ごとに記載
殺菌・除菌の表示 殺菌も除菌もしていない水には、その旨の表示が求められている 殺菌・除菌の有無の記載

出典:農林水産省「ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン」(全国清涼飲料連合会 掲載)

「温泉」という言葉が商品名やパッケージに大きく書かれていても、原材料名が「水(温泉水)」でなければ、ガイドライン上の温泉水を原水とした水ではありません。反対に、原材料名に「温泉水」とあれば、商品名に「温泉」の文字がなくても温泉水を原水としています。

温泉水・鉱泉水・鉱水の違いも原材料名でわかる

原材料名には、温泉水とよく似た「鉱泉水」「鉱水」が書かれていることもあります。ガイドラインでは、自然に湧き出す地下水のうち水温25℃未満で溶存鉱物質などに特徴のあるものを鉱泉水、ポンプなどで取水した地下水のうち溶存鉱物質などに特徴のあるものを鉱水としています。水温25℃以上で自然に湧き出す地下水などが温泉水です。温泉水と鉱泉水は、主に湧き出したときの水温で区別されます。

出典:農林水産省「ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン」(全国清涼飲料連合会 掲載)

温泉水の硬度やpHの見方は、温泉水は軟水?硬水?硬度・pH・アルカリ性の関係で詳しく解説しています。

温泉地の「飲泉」はラベルではなく掲示で確認する

温泉地で源泉を飲む「飲泉」は、ボトル入りの温泉水とは別のものです。ラベルがないかわりに、飲用に供する場所は限定・明示され、飲用許容量や飲用上の注意を掲示することが環境省の基準で定められています。

出典:環境省「温泉の利用基準について」

飲泉を楽しむときは、飲用できる場所かどうかと、掲示された量や注意事項を確認しましょう。浴槽のお湯は飲用を前提とした管理がされていないため、飲むのは避けてください。

飲泉と市販の温泉水それぞれの飲み方は、温泉水は飲める?飲む温泉水の種類・飲み方・注意点で解説しています。

同じ軸で見る温泉水と海洋深層水の違い

原水・品名・硬度という3つの軸は、温泉水以外の水にもそのまま使えます。たとえば海洋深層水は、地下水ではなく、深い海から取水した海水を原料とする水です。そのため、品名の4分類ではナチュラル系やミネラルウォーターにはあたりません。

軸 ボトル入りの温泉水 海洋深層水のボトル入り飲料水
原水の由来 温泉に由来する地下水 深い海から取水した海水(地下水ではない)
品名 原水の条件と処理の内容により、ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーターなど 地下水ではないため、ナチュラル系・ミネラルウォーター以外の飲用水(ボトルウォーター)の区分
「天然」の表示 ナチュラル系の品名であれば使える 使えない
硬度 源泉や製品によってさまざま 製品によってさまざま

出典:農林水産省「ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン」(全国清涼飲料連合会 掲載)

どちらが優れているということではなく、原水の由来が違う水だと理解して、硬度や表示を見比べながら好みや用途に合うものを選ぶのが基本です。

海洋深層水を原料とする水の一例がBody Friendly Waterです。静岡県伊東市赤沢沖・水深800mから取水した海洋深層水を原料とする、硬度40mg/Lの軟水で、海洋深層水100%のボトルドウォーターです。製造は温泉地として知られる赤沢温泉郷の自社工場で行っていますが、原料は温泉水ではありません。工場はFSSC22000及びISO22000の認証を取得しています。

海洋深層水の特徴は、海洋深層水のメリットとは?他の水と比べてわかる5つの利点で解説しています。

よくある疑問

温泉水と天然水はどっちがいい?

どちらが優れているということはありません。温泉水は原水の種類を、天然水は品名がナチュラルウォーターまたはナチュラルミネラルウォーターの水を指す呼び方で、比べている軸が違います。温泉水を原水とする天然水もあります。飲みやすさで選ぶなら、ラベルの硬度を比べるのが確実です。

温泉水は「ミネラルウォーター」と表示できる?

温泉水は地下水なので、ガイドラインの条件を満たせば、ナチュラルウォーターやナチュラルミネラルウォーター、ミネラルウォーターの品名で販売されます。品名は原水の条件と処理の内容で決まり、原水が温泉水であることは原材料名の「水(温泉水)」で示されます。

温泉水は軟水?硬水?

源泉や製品によって異なり、どちらとは決まっていません。軟水か硬水かは硬度で分ける別の分類で、WHOの飲料水水質ガイドラインでは硬度120mg/L未満が軟水側とされています。市販品はラベルの硬度を確認しましょう。

温泉水を毎日飲んでも大丈夫?

市販のボトル温泉水は飲用の水として販売されているもので、表示を確認して日常の水分補給に使えます。ただし成分は製品ごとに異なるため、持病のある方や体調に不安がある方は、医師に相談すると安心です。

注意点は、温泉水を飲むデメリットは?注意点と上手な付き合い方にまとめています。

まとめ|温泉水は原材料名、ミネラルウォーターは品名で確かめる

温泉水は原水の由来を、ミネラルウォーターは品名を、軟水・硬水は硬度を表す呼び方です。軸が違うので、温泉水を原水とするナチュラルミネラルウォーターのように、組み合わせて表示されることもあります。

市販の温泉水を選ぶときは、原材料名の「水(温泉水)」、品名、硬度・pH、殺菌・除菌の表示を確認しましょう。温泉地の飲泉は、掲示された飲用許容量と注意事項に従うのが基本です。

温泉水の定義や温泉法上の位置づけは、温泉水の効果とは?温泉法の適応症・飲用の注意で解説しています。

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